本物の心霊写真や怪談には、輪郭がなくて、表情とメッセージがある。
(稲川淳二さん)
親愛なる君に

稲川淳二さんの『怪談ナイト2002』に行ってきました。
〈気になると言えば気になるけど、気にならないと言えば気にならない。
だけど……〉
というのが、稲川さんの怪談の怖さです。
僕の書いてる本も、そうですね。
〈笑い話は、何度も聞くと面白くなくなるけど、
怪談は、聞くたびに怖さが大きくなる〉
僕の本も、そんな本にしたいです。
恒例の心霊写真コーナーが、大好きです。
心霊写真の本物とニセモノの見分け方を教えてくださいました。
本物の心霊写真の特徴は3つ。
1.顔の輪郭がない。
2.なのに、なんともいえない表情がある。
3.訴えようとしているメッセージを感じる。
「トリック写真」とは、この3点が違うのです。
「しみが3つあって、目と口に見えただけ」という否定も成り立たないのです。
稲川さんの怪談は、聴いたり、思い出したりすると怖いんだけど、
誰かに話そうとすると、うまく話せないのです。
つまり、稲川さんの怪談には、輪郭がないのです。
これが、オチのある作り話と違うところなのです。
輪郭はないけど、表情やメッセージの波動を感じるのです。
稲川さんの話自体が、本物の心霊写真なのです。

                        中谷彰宏拝
P.S.
楽屋を訪ねた時、稲川さんに、怪談を
「面白かった」と言っていいのか迷いましたが、
稲川さんの怪談は「面怖い」んです。
人体で作った人形の横に、三越の包装紙のお土産があったのが、
リアルで怖かったです、稲川さん。