全部伝わらなくていいというのが、ものづくりの覚悟だ。
(イッセー尾形さん)
親愛なる君に

イッセー尾形さんの「新作一人芝居2002年秋」を観てきました。
イッセーさんの驚異的なことは、二つあります。

(1) 二時間に及ぶオムニバスの新作を、
たった4日間でつくってしまうということ。
(2) しかも、新ネタは、いつも新パターンであること。

同じパターンで10作品つくることより、
違うパターンで2作品つくるほうが大変です。
初日から、公演中に作品がドンドン成長してゆくのも、
4日間で作っていると言われると、わかりますね。
公演日数のほうが長かったりするからです。
僕は、去年83冊の本を出しました。
4.4日に1冊のペースです。
それよりも、イッセーさんは凄いのです。
これは、観客としては、楽しいことだし、役者としては、勇気のいることです。
演出の森田さんは、「全部が伝わらなくてもいいんだからね」と言われるそうです。
この言葉は、僕にも身にしみました。
そうなんだよね。
これが、モノをつくる人間の覚悟なんですね。
今回は、着替えコーナーの真ん前を取っていただきました。
脱がれた衣装が山のように詰まれているのを見て、
それが不思議な演劇空間をかもし出していました。

                        中谷彰宏拝
P.S.
今回は、もっとも不思議だったラストの
「石川弁のギター神主」が夢に出てきそうな気がします。