いちばん後ろの席に、神様が座っている。
(さだまさしさん3000回記念コンサート)
親愛なる君に

さだまさしさんの「コンサート3000回記念コンサート」は、
WOWOWのカメラワークにも、拍手を送りたい。
「あれ、今回は、違うぞ」
「本気だぞ」と感じたのは、どんびきのロングショットでした。
普通、あそこまでカメラを後ろに引けないのです。
大きな国際フォーラムAホールの1階のいちばん後ろ。
そして、3階のいちばん後ろのたぶん壁ギリギリ後ろからのショットに、
僕は感動しました。
これが、さだまさしさんのショットなのです。
普通、アップは撮れても、どん引きは撮れないのです。
カメラマンに力があっても、
アーティストに力がなければ、どん引きの絵は、もたないのです。
「フォークソングは、身近な、ちまちま・めそめそした歌だ」という見方が、
いかに間違っているかということを、教えてくれました。
さださんの歌は、雄大で、スケールが大きいのです。
どん引きは、観客の多さではなく、
3000回という長さなのです。
空間ではなく、時間なのです。
この演出家は、さださんを愛している人だということが、よくわかりました。
さださんは、いちばん後ろの席のお客さんのために歌い、
いちばん後ろの席のお客さんが、もっとも熱いお客さんなのです。
いちばん後ろの席には、神様が座って聴いているのです。

                        中谷彰宏拝
P.S.
無人島にもし持っていくとしたら、
さださんの全曲集を持っていこう。