一流のボクサーと文章には、ムダなパンチがない。
(鷲田小彌太著『論理的に考える練習』)
親愛なる君に

鷲田小彌太先生の『論理的に考える練習』(PHP研究所)が、面白かった。

〈文章に、番号をつける〉

(なるほど、それはいい発明だ)と、目からウロコが落ちました。
難しい文章は、一文ずつに番号をつけていけば、
論理がわかるのです。
わかりやすい文章を書くには、一文一文に番号をつければ、
書けるのです。
「論理的」というのは、「理屈っぽく」とか「難しく」とかいうことではありません。
「論理的」とは、「わかりやすい」ということなのです。
論理的な文章には、おのずから番号がついているのです。
これは、本の読み方・書き方・考え方として、画期的な発明です。
この本には、練習問題が載せられています。
「どれどれ、やってみよう」と読んでみると、
どこかでみたような文章でした。
小出監督との対談、『本当の生きる力をつける本』(幻冬舎)でした。
一瞬、僕は、冷や汗が出ました。
自分では、番号をつけて書いている意識はないし、
きわめて気分で書いているので、論理的ではないことが、ばれてしまいます。

〈現在、日本でもっともわかりやすく、達意の文章を書く人は中谷彰宏氏であろう。
氏の文章には、まるで番号が打ってあるかのように見える。
次々に、的確な文が繰り出される〉

〈ここまでやられてしまうと、グーの音も出ない気がする。
一文、一文ごとに、立ち上がって、ひたひたと迫ってくる〉

〈繰り出す〉という表現が、さすが鷲田先生です。
鷲田先生の文章こそ、的確に、パンチを繰り出してきます。
そうか、文章を書くということは、ボクサーがパンチを繰り出していくのと、
同じなんですね。
鷲田先生は、僕が無意識にしていることを、
まるで一流のセコンドのように、見抜いてしまいました。

                        中谷彰宏拝
P.S.
ムダなパンチがないように、気をつけます。