お結びと愛は、ふんわりやさしく、それでいて崩れない。
親愛なる君に

どんなごちそうよりも、お結びがおいしい時があります。
見るだけで、おいしいお結びかどうかが、わかります。
おいしいお結びは、ちゃんと結んであるのです。
はずれは、握ってしまっているのです。
「結ぶ」と「握る」は、違うのです。
最悪のは、ぎゅっと握りすぎていて、かちかちなのです。
ふんわり結んであって、しかも形が壊れないというのが、
おいしいお結びです。
手に触れる時間が、短ければ短いほど、おいしい。
お寿司の握りでも、おいしい握りは、
シャリが壊れるギリギリいっぱいそっと握られています。
素人が握ると、握りではなく「握りしめ」になってしまいます。
ラップが、パツンパツンに張ってあるのは、握りすぎの証拠です。
中の具は、真ん中にころりと入っているのではなく、
全体にまぶしてあるのが好きです。
そうじゃないと、真ん中まで届くまでの間が寂しいし、
真ん中の具を食べ終わったとも、寂しい。
のりは、好きずきだけど、僕は、ぱりっと乾いているのが好きです。
おじいさんが、お米を作っていたので、
子供の頃から、お米関係には、うるさく教育された結果です。

                        中谷彰宏拝
P.S.
愛し方も、お結びの要領で、ふんわりやさしく、それでいて崩れないように。