ウルトラマンも、実家の青森に帰ると大変なんですね。
(清水宏さん・宮藤官九郎さん)
親愛なる君に

「清水宏のサタデーナイトライブ14」(ザ・スズナリ)を、
スカパーのシアター・テレビジョンで観ました。
清水宏さんは、ラサール石井さんの「こち亀」で、印象に残りました。
この一人芝居は、さんまさんや忌野清志郎さんがオムニバスで原案協力
をされているのですが、「やられた」と思ったのが、
「ヒーロー実家に帰る」篇でした。
ウルトラマンが実家の青森に帰るという設定です。
M78星雲は、進学した学校で、実家は青森だったのです。
そこでコタツに入った父親から、見合いの話をされたり、
弟の仕事の推薦を頼まれたり、最近の仕事に対する説教をされたり、するのです。
都会で大人になった子供と田舎に残った家族との
ちょっとぎこちないやりとりが、共感されられます。
遠慮・恥ずかしさ・うらやましさ・気づかい・やきもち・愛情・いきちがい
などが入り交じった見事なホームドラマでした。
ラーメン屋さんのいろいろ入った寸胴スープのような味わいがありました。
それをウルトラマンの家族という設定にした発想にやられました。
原案は、宮藤官九郎さん。
「池袋ウエストゲートパーク」や「木更津キャッツアイ」を書いた劇作家です。
三谷幸喜さんが、もっとも悔しがる作家ですが、僕もです。
僕は、面白いお芝居やコントは、
編集して保存にして、何度も見直します。
このビデオも何度も何度も見返しましたが、
清水宏さんの切れのいい細かな演技力もさすがです。

と、ここまで書いて、ごはんを食べに行きました。
レバニラライスを食べているうちに、あることに気づきました。
「ヒーロー実家に帰る」が、面白かったのは、
ウルトラマンの実家が青森だったという設定ではなくて、
子供が実家に帰る時の照れくさいドラマが、
ドラマとして、きっちり描かれていたからでした。
宮藤さんは、コメディの作家ではなく、本格的な作家として凄いのです。

                        中谷彰宏拝
P.S.
スばらく、青森弁が抜けるまで、ズカンがかかりました。