タクシーを降りる時に、心づかいができてるかな。
親愛なる君に

僕は、タクシーの運転手さんに道を告げて、
わからない場合は、自分で説明できる場所は、説明します。
自分で説明できない場合は、ムリをしないで乗り換えます。
ムリをすると、事故になりかねないからです。
それは、運転手さんにも、申し訳ないことだからです。
先日、そのようにして乗り換えたタクシーの運転手さんから
メールをいただきました。

〈骨董通りで、タクシーをお探しの中谷さんとお会いできました。
雨上がりでお急ぎのご様子でした。
中谷さんの著書のうち啓蒙書、ビジネス書などは書店で見かけるたびに、
予算の許す限り見ずテンで購入している私は、
少し興奮して中谷さんをお乗せしました。
丁寧な言葉で行き先を告げる中谷さん。
でも残念なことに新人乗務員の私は、乗務員として誠に恥ずかしい話ですが、
中谷さんの告げる場所への道順を知りませんでしたので、そのことを告げました。
すると躊躇なく、
「では降りて後ろの車に乗ります。残念だけど○○の地理は複雑で僕も教えて上げら
れないので」と、降りてしまわれました。
私としてはとても残念なことでしたが、
中谷さんの正しく丁寧なお言葉や時間を大切にする姿勢に感銘しました。
緊張していた私はその時、中谷さんの読者であることを告げるのがやっとで、
中谷さんの貴重な時間を不勉強から無駄にしたことをお詫びできませんでした。
本当は、「お手数をおかけして申し訳ありませんでした」と、言いたかったので、
この場をお借りしてお詫び申し上げます。ご免なさい。
最後に張りのある声で言われた、「ありがとう!」、胸に残りました〉

冷たい言い方になっていなかったかなと、ひやりとしたのは、僕のほうでした。

                        中谷彰宏拝
P.S.
またきっと、コイズミさんの車に、乗ります。