制服を着ていることで、お酒も飲ませてくれた。
(『花と蝶』)
親愛なる君に

隣の高校の沢口靖子さんは、
学生時代から、僕の高校でも有名な美人だったという話を、
高校の後輩から聞きました。
東宝シンデレラに選ばれたのは、高校3年在学中だということです。
トーク番組で、「高校時代、『花と蝶』という喫茶店によく行きました」
という話を、沢口さんがしていたそうです。
『花と蝶』というのは、まるでバーのような不思議な名前ですが、
喫茶店です。
僕たちは、『花蝶』と短縮して、呼んでいました。
僕たちの高校のあった堺東の商店街には、
とにかく喫茶店がたくさんありました。
僕の高校と沢口さんの高校が同じ日に運動会をして、
両校あわせて2700人が打ち上げができるくらいのキャパが、
堺東の喫茶店にはありました。
1次会から2次会への入れ替わり時間もありますから、
実際には、それ以上のキャパがあったのです。
『花蝶』は、その中でも、最大級のキャパのある喫茶店でした。
席が可動式の奥の部屋が、人数に合わせて最も使いやすかった。
文化祭のあと、『花蝶』で撮った貴重な写真も、残っています。
空手部の後輩と一緒に行って、
ウイスキーをコカコーラで割ったコークハイを飲んだりしていました。
高校の制服を着ていたのですが、制服を着ていることで、逆に信用して
アルコールでも売ってくれたのでしょう。
『花蝶』は、とにかく柔軟な喫茶店でした。

                        中谷彰宏拝
P.S.
まだ、あるかな。確かめに、いつか、一緒に行こう。