定番をいつも新ネタにできる人が、一流だ。
(小堺一機さん&清水ミチコさん)
親愛なる君に

小堺一機さんと清水ミチコさんのライブ、
「コミック君とミミックちゃん ぜーんぶやりつくし!」を観てきました。
これは、贅沢な企画でした。
小堺さんと清水さんのモチネタを全部やるというから、大変です。
開演前に、メニューをもらって、見たいネタに○をつけるのです。
そのメニューを見ながら、僕も含めて、お客さんはまだ見ていないのに、
もう笑ってるのです。
2時間半たっぷり見ても、メニューですら、
全部見ることができないくらい、それほど贅沢な企画でした。
小堺さんのモノマネの面白いところは、似ているというだけじゃなくて、
1.みんながモノマネしない人をする。
2.みんながモノマネしない部分をする。
ということです。
だから、演目名を見るだけで、もう笑えてしまうのです。
モノマネは、いちばん最初にやった時が、
練りこんで練習した時より、面白いのです。
小堺さんのモノマネが面白いのは、
繰り返しのようで、繰り返しでないところです。
定番の田中邦衛さんのモノマネですら、いつも新ネタなのです。
「北の国から」のラーメン屋さんで、純がウソを告白するシーンは、
僕がいちばん好きなシーンなので、泣きながら、笑いました。
安部譲二さん腹話術人形のうなずきは、
今週、「ごきげんよう」に安部さんが出ていたばかりなので、
ますます面白かった。
小堺さんは、モノマネをしようと狙っている人を研究のために、
ゲストに呼んでいるのではないか、と疑いたくなるくらいです。
でも、急にリクエストされても、それは逆で、ゲストに来た人どころか、
見学にきたお客さんですら、小堺さんはマネしてしまえるのです。
清水ミチコさんは、歌唱力があるのですが、
それ以上に、顔唄力があるので、
イントロで、もう美輪明宏さんや中島みゆきさんになっているのです。
なんでもない歌を、心をこめて歌う「ハトヤの唄」は、最高でした。
モチネタ「ぜ〜んぶやりつくし」というタイトルは実は逆説で、
新ネタだらけでした。

                        中谷彰宏拝
P.S.
3日間、全部チケットを買えばよかったと、後悔しました。
なぜなら、きっと毎日、違う田中邦衛さんを見ることができたからです。