舞台で難しいお話が、舞台になると面白い。
(舞台版『ゴースト』)
親愛なる君に

舞台版『ゴースト/ニューヨークの幻』を、観てきました。
これは、ロマンチックなストーリーなんですが、
舞台にするのは、凄い難しい話なんですね。
死んだ男が恋人に自分の存在をいかにして証明していくかということで、
ストーリーを引っ張るのですが、2つ問題があるのです。

1.証明するのが、原作ではコインを動かすことのように
  アップで見せる小さなネタであること。
2.映画のように合成を使えないこと。

映画で面白いからといって、
簡単に舞台で面白くできるとは限らないんですね。
むしろ、映画で面白いものは、舞台で表現するのが難しいのです。
さて、そこからです。
「これって、舞台的だよね」というお話は、舞台にかけると、
観客の想像を超えられないのです。
「舞台的じゃないよね」という作品のほうが、
舞台にかけると、大失敗か大成功かするのです。
難しいところが、いちばん面白いところでもあるのです。

1.小さなネタを、いかに大きく見せるか。
2.合成を使わないで、いかに表現するか。

幽霊の表現も、何通り見せることができるかが、
作り手の楽しみでもあるのです。
『ゴースト』は、パンフレットに原稿を書きました。
僕は、パンフの原稿は、舞台を観る前に書きました。
そしてこの感想は、観たあとで書いています。
もちろん、違う中身です。
一晩寝ると、また違うことを書くでしょう。
僕は、お芝居や映画のパンフレットの原稿を書くのが大好きです。
僕自身が、パンフレットを読むのが大好きだからです。

                        中谷彰宏拝
P.S.
もし、僕が幽霊になったら、君にどうやって証明しようか、
考えながら、観てました。