見出しよりもいい見出しが、本文に隠されている。
(中谷流 本の書き方)
親愛なる君に

「どうやって、本を書くのですか」と、よく聞かれます。
ベストセラーの達人の井狩春男さんが、
「中谷さんは、きっと、見出しを先に考えるにちがいない」
と、「ベストセラーの方程式」(北海道新聞)の中で指摘してくださいました。
さすが、ベストセラーの達人は、見抜かれました。
その通りです。
コマーシャルのコピーを考えるのと同じ方法で、僕は本を書いています。
テーマに沿って、コピーをたくさん考える。
コマーシャルの世界では、
ひとつの商品に対して、まず300本から1000本のコピーを作ります。
コピーとは、単なる言い回しや表現ではありません。
コピーとは、切り口です。
言い回しを変えても、切り口が同じならば、100の言い回しでも、
ひとつのコピーでしかありません。
もちろん、前に使った切り口は、2度と使えません。
300本から1000本の切り口を作るということです。
「50の方法」という本にする場合は、
300本から1000本の切り口を、50本に集約していくのです。
それから本文を書きます。
本文を書いてから、また見出しを変えることも、もちろんあります。
本文の中から、思いもよらない切り口が生まれてくることもあるからです。
よく読むと、本文の中に、いい見出しを見つけることもできるはずです。
この作業に、もっとも時間とエネルギーを費やします。
毎日1000本ノックをするように、切り口を考えていたので、
この作業が、僕はまったく苦になりません。
そんなことを、8年も続けていたので、
生活の一部になってしまったからです。

                        中谷彰宏拝
P.S.
「愛している」と伝える切り口も、毎日、1000本ノックしています。