親は子供の一生懸命さを見抜く。
親愛なる君に

僕は、自分の出演した番組は、ダビングして
実家に送っています。
ボウリング番組の解説をした「ドリームボウル」のビデオも、
実家に送りました。
実は、これは送ろうかどうか迷いました。
両親は、野球をはじめスポーツは好きなんですが、
ボウリングは、あまりしたことがないからでした。
画面に映っているわけでもなく、
しかも興味のないスポーツ中継は、退屈かなと思いました。
ビデオが届いた時の最初の反応を聞いて、ヤバイなと思いました。
「あんた、優勝したん?」
「……いえ」
「負けたん?」
「……いえ、解説だけです」
ドリームボウルが凄いものだというところから、説明が必要です。
ビデオを見たあと、電話がかかってきました。
意外な反応が返ってきました。
ビデオを見た母親が、言いました。
「あなたが手に汗握って解説している姿が、
手にとるように浮かびました」
親というのは、大変なものですね。
子供の好き嫌いや、一生懸命かいいかげんかを、
ひと目で見抜きますね。
僕は、うれしかった。
自分ではボウリングが好きで一生懸命やっているつもりです。
親が見ても、それがわかるというのは、
本気であることを証明されたみたいで、うれしかった。
「ガイジンさん、うまいねえ」と、母親は言っていました。
アメリカのトッププロに「うまいねえ」と言う人にほめられたのが、
またうれしかったです。

                        中谷彰宏拝
P.S.
君にほめられるのも、うれしいよ。