絵本は、誰かに読んでもらうのが、いちばん味わえる。
(僕の創作の秘密)
親愛なる君に

絵本は、誰かに読んでもらいながら読むのが、
いちばん楽しめるそうです。
そのほうが、絵だけに集中できるからです。
字も自分で読まなければならないと、
絵に割くエネルギーが半分になってしまうからです。
僕は、恵まれていました。
実家がスナックで、お姉さんがたくさん住み込みでいてくれたので、
毎晩、寝るまで、絵本を読んでもらいました。
ベッドに入っているので、
もはや、絵を見ることすらできません。
絵は、天井にあるのです。
そして、まぶたの裏にあるのです。
絵のない分だけ、世界はさらに広がります。
だんだん僕が大きくなると、
今度は僕が妹に、絵本で読んだ話を、
絵本なしでしてあげるようになりました。
絵のない絵本を読んでいたのです。
僕が、今こうして本を書けるのは、
一緒に住んでいたお姉さんや妹のおかげなのです。

                        中谷彰宏拝
P.S.
今度は、君に僕が読んであげる番です。