自分の行きつけのところに、親を案内しよう。
親愛なる君に

花岡浩司・律子先生のところでレッスンを終えたあと、
父親は、丸ビルをウロウロして、のぞみで帰る予定でした。
「それでは、僕は、ボウリングの練習に向かいますから、気をつけて」
と言うと、
「ふん……ちょっと、見るかな」と、
父親は、ボウリング場について来たのでした。
ちょうど、レディースリーグの試合が終わったばかりで、
おば様たち全員に、「うちの父親です」と紹介することになりました。
父親は、絵の描きすぎで腱鞘炎なので、
ボウリングにムリに誘いませんでした。
僕の練習を見ているうちに、
「せっかくやから、やるかな」ということになりました。
父親は、70歳の人生の中で、一度しかボウリングをしたことがありません。
しかも、何十年も、昔のことです。
ケガだけしないように、と心配でした。
ところが、1投目から、いきなりストライクです。
投げ方も、何も教えていないのに、力が抜けてムリのないフォームです。
野球やゴルフを、やっていたせいかもしれません。
結局、ストライク3つ。ガター1つで、130点。
人生で2回目にしては、かなりのハイスコアです。
まわりのレーンで練習している友の会の皆さんが、
「へえー、2回目です、こんなにお上手なんですか」と、驚いていました。
1ゲームだけで、花岡先生にいただいたTシャツが、汗でびっしょり。
あとで、母親に聞くと、新事実が発覚しました。

1.「前から、あなたのボウリングを見たいと言うてはったんよ」
2.「ガターになったのは、プロボウラーみたいに、
  フックボールを投げてみよとしたかららしい」
3.「今度は、150点取る言うてはるよ」

ボウリングは、ダンスのレッスンとともに、
東京検査ステイの定番イベントになったようです。

                        中谷彰宏拝
P.S.
「今、ボウリングに一緒に行った。130点取った」
「えー、ホンマに?」
「彰宏に、きいてみー」
こういう親の会話は、いいよね。