20回目の書き直しを、1回目の気分で書き直している。
親愛なる君に

「文庫にする時は、書き直すんですか?」
と、よく聞かれます。
もちろん、書き直します。
かなり、書き直します。
感情については、最初に書いた時に感じたことを書き直さないように
気をつけて、残します。
書き直す時に、いちばん気をつけることは、
「もっと、わかりやすく」ということです。
たとえば、一文が、3行以上になっているところがあったら、
なんとか書き直して、わかりやすく文章を分けます。
僕は、広告代理店で、年がら年中、書き直しをしていたので、
書き直しに対して、まったく抵抗がありません。
むしろ、いつまでも書き直すのが、好きなくらいです。
出版社や印刷会社の方に、迷惑にならなければ、
いつまでも、書き直します。
目の前に原稿が置かれると、
それが、1回目の書き直しでも、20回目の書き直しでも、
まったく区別がつきません。
20回目の書き直しを、1回目の書き直しの気分で直しています。

                        中谷彰宏拝
P.S.
毎日の「好きだよ」という言葉も、いつも初めて言ってるつもりです。