ストリーキングよりも、鼻歌を歌いながらというところが、怖い。
(『異形ノ恋』)
親愛なる君に

さて、映画『異形ノ恋』の監督・堀井彩さんの顔を、
僕は知りませんでした。
不思議ですね。会ったことのない人は、名前で想像してしまうんですね。
(物語は、レズも出てくるし、いやいや意外に……)
監督が到着する前に、「インパクトのある方ですから」と、
企画の高橋昇さんやプロデューサーに言われて、
うっすら予感はありました。
その予感は、当たりました。
堀井彩さんは、男で、関取体形で、しかも、優しい声の方でした。
その意外性に、トークショーとしては、「つかみはOK」と思いました。
「彩監督は、まだ来られないんですか?」と、キョロキョロするフリです。
本名だと言うから、さらに驚きでした。
読み方は、アヤではなく、ヒカリさんでした。
これまで、いろんな体験をされてきたんだろうなと、想像しました。
僕は、作品の中に、きっと監督も出演しているのではないかと、
想像していました。
監督みずからレズ役ということも考えられるけど、
もし男性だったら、鼻歌を歌いながら走りすぎるストリーキングの男かな、
と、想像していました。
それも、かなり長い一本道を、向こうから走ってくる長回しです。
僕が、もしこの作品に出るとすれば、このストリーキングの役を狙っていました。
ストリーキングという行為よりも、鼻歌に、狂気性を感じるのです。
「どんな映画ですか?」と、聞かれたら、
裸のにいちゃんが、鼻歌を歌いながら、ストリーキングしている話です」と、
説明してしまいそうです。
それくらい、インパクトがありました。

                        中谷彰宏拝
P.S.
実際、そんなシーンがなかったら、いつものことと、叱らないでくださいね。