後悔から、集中力がわいてくる。
(『ブルー・ドルフィン』)
親愛なる君に

ラジオのゲストに出る時に、「リクエスト曲ありますか?」と、聞かれたので、
ベルナール・アルカディオの『ブルー・ドルフィン』をお願いしました。
この曲の収録されているアルバム『Sunshine 天使』はすでに廃盤です。
さすが、NHKのレコード室にはあって、感激しました。
僕は、高校生の頃、堺市立中央図書館の自習室で、いつも勉強していました。
家でも勉強できたけど、図書館が好きだったのです。
友達もみんないるのが、好きだったのです。
勉強が目的ではなくて、図書館に行くこと自体が目的だったのです。
図書館は、夜の10時で閉館になります。
閉館5分前に、この曲が流れます。
「蛍の光」と同じ役割です。
それまで、ちっとも勉強する集中力がなかったのに、
ラスト5分になると、とたんに集中力が出てくるのです。
「終わりだよ」と言われると、「もっと」と感じてしまうのです。
200人くらい入れる自習室で、僕はいつも最後の1人でした。
それだけ、がんばっていたのではなくて、
それまで、ちっともがんばっていなかっただけです。
3時から10時までの7時間いても、結局5分しか勉強していなかったようです。
7時間分の集中力が、5分に集中するのです。
久しぶりに、『ブルー・ドルフィン』を聴いたら、集中力がわいてきました。
きっと、人間が死ぬ時も、凄い集中力が出るのでしょうね。
集中とは、「もっと、時間があれば……」という
後悔からわいてくることもあるのです。

                        中谷彰宏拝
P.S.
さっきまで余裕あったのに、
いつも、「もう、終わり? もうちょっとだけ……」と、くやしがる君も、
集中力の達人だね。