古典は、みんなエッチだ。
(『えろきゅん』川上史津子さん)
親愛なる君に

去年読んだ本の面白かったベストテンに入れた
川上史津子さんの、新作『えろきゅん』(講談社)が、また面白かった。
掌篇小説の最後に、短歌が添えてあるスタイルが、面白い。
歌のエッチさが、さらに深まります。
もともと歌は、平安時代から、設定が長めに書かれていたから、
これが本当のスタイルなんですね。
川上さんの歌がエッチなんではなくて、
歌とは、そもそもエッチなものなのです。
学校で習っている古典も、実は、ほとんどがエッチな歌なのです。
この本の中で、僕が大好きな歌ベスト5を挙げます。

〈五分でもいいの神様あの男性(ひと)を強姦できる腕力(ちから)を貸して〉

〈接吻(くちづけ)の一秒前まで“知り合い”でそこから先はなんと呼ぼうか?〉

〈炯(ヒカ)ル目に気付カナイ振リ知ラヌ振り花ヲ召シマセ召シマセ吾(ワレ)ヲ〉

〈慌(あわただ)しチェックアウトの五分前紅引く手止めて唇ねだる〉

〈一瞬であの時になる一瞬で準備が出来る私の牝(オンナ)〉

積極的な歌の中に、センチメンタルな一首も見つけました。

〈暗いクライ長い永い夜(よ)携帯の灯り点けたり消したりしたり〉

こういう少女があるから、なおさらエッチなんですね。
1000年くらいしたら、古典の教科書に出てるかもしれないね。

                        中谷彰宏拝
P.S.
ひと言で言うと、「もともたしてちゃいけない」ということだね。