失敗したら、何度でもやり直すのが、プロ。
(石井竜也さん)
親愛なる君に

中島薫さんのお誕生会で、石井竜也さんのコンサートがあると聞いてから、
石井さんの『good-bye morning』が聴きたいと、
ずっと楽しみにしていました。
『good-bye morning』は、薫さんの作った名曲で、
僕が大好きな曲です。
きっと、石井さんの味が出て、合うと思いました。
でも、アーティストに、他の人の歌を歌ってくださいと言うのも、
かなり気が引けます。
ところが、石井さんは、やってくれました。
普通は、「さっき、思いついて練習しました」と言いながら、
前々からしっかり練習してきているというのが、お約束です。
ところが、本当に石井さんは、ぶっつけでした。
この歌は、実は難しいのです。
カラオケで、僕も何度も、挫折しました。
ここから乗りたいというところで、
さっと次のフレーズに入ってしまうのです。
その裏切りが、切なさになっているのです。
石井さんは、失敗しました。
普通なら、そのまま、最後まで歌います。
どうせ他人の曲なので、そこまでこだわることないのです。
石井さんは、「あっ、失敗」と、なんと中断したのです。
「ね、だから言ったでしょ。もう一度、最初から、やり直します」
と、最初から、やり直しました。
普通なら、これで最後まで歌いとおして拍手、というところです。
ところが、また、先で失敗。
素人が聴いたら、わからないくらいのミスです。
でも、石井さんは、「やり直します」と、3度目のトライをしました。
さすが、石井竜也、恐るべしです。
その日、僕は『キダム』のディアボロの少女の失敗の後の
チャレンジを観て感動していました。
石井さんは、別の日に、
宙返り人間トーテムポールの失敗を観て感動したそうです。
コンサートでも、絶対見れないものを見せていただいて、感動。
石井さんと薫さんの哲学を、見せていただいた気がしました。

                        中谷彰宏拝
P.S.
一緒に、カラオケに行って『good-bye morning』を歌おう。
失敗したら、何度でも、歌っていいよ。