お辞儀をすると、キャラが出る。
(イッセー尾形さん)
親愛なる君に

僕は、商売人の子供ですから、
頭を下げられたら、
つい条件反射で、ぺコリとお辞儀をしてしまいます。
相手が、全然知らない人でもです。
その人の知り合いが、僕の後ろにいたりすることもあります。
お芝居が終わると、カーテンコールで、
役者さんがお辞儀をします。
役者のままお辞儀をする役者さんもいれば、
かなり素に近い状態で、お辞儀をする役者さんもいます。
イッセー尾形さんが、広尾の小さいスペースで新作を演じられた時、
舞台が始まる前に、出てこられて、お辞儀をされました。
僕は、思わず、観客席から立って、お辞儀を返してしまいました。
もちろん、僕一人に対してしたお辞儀ではないのに、
つい立ってしまったのは、
卒業式で、起立のタイミングを一人間違えて立ってしまったのと
同じような恥ずかしさでした。
お辞儀をすると、その人のキャラクターが出ます。
イッセーさんのお辞儀は、ついお芝居を忘れさせて、
客席から立たせてしまうようなお辞儀なのでした。

                        中谷彰宏拝
P.S.
この時の公演では、赤ちゃんを抱いている人が、
空いている席を探してくれたのに感激した君に、僕は感激した。