サザエさんは、日本文化の教科書だ。
(ユミさん)
親愛なる君に

ラップ・ミュージシャンのユミさんに、会いました。
ユミさんは、お父さんの仕事の関係で、ニューヨークで育ちました。
ずっと英語で生活しているので、
いつのまにか、日本語ができなくなっていました。
そこで、日本のマンガで、日本語と日本の文化を勉強することにしました。
ユミさんが日本文化を勉強したのは、
『サザエさん』『ドラえもん』『ドラゴンボール』でした。
ユミさんにとって、サザエさんこそが、日本の文化でした。
漢字は読めないので、ひらがなだけ、一生懸命読んだそうです。
「サザエ・タラ・マスオ・ワカメ」が、日本人の典型的な名前だと
ずっと思っていたそうです。
「日本人は、結婚しても、大勢で一緒に住むんだ」と信じていました。
いまでは、サザエさんが4コママンガだということも知らない人もいます。
新聞連載のサザエさんには、季節感もあり、
近所の人との人間関係のつきあい方まで、描かれています。
ユミさんは、ラッキーでした。
ある意味で、日本文化を学ぶのに、
サザエさんは、最良のテキストだったのです。

                        中谷彰宏拝
P.S.
その証拠に、ユミさんは、
いい意味で、日本人よりも純粋なスピリッツを持っていました。