道を教えてくれる京都では、地図はいらない
(京都)
親愛なる君に

2時間ドラマの撮影で、
毎日、京都まで通っています。
やっぱり、京都は違いますね。
感動しました。
街が違うのではなく、人が違うのです。
京都松竹撮影所に初めて行きました。
地図を送っていただいたんだけど、これがアバウトな地図なんですね。
なんとかなるかなと思って歩いていたら、やっぱりその地図では、
たどり着けないんですね。
そこで、マネジャーに携帯電話で聞いていたら、
道の反対側にある自転車屋さんの奥から、おじいさんが出てきて言いました。
「どこ、いかはるんですか?」
道を、尋ねたのではないのです。
ただ携帯で聞いていただけなのです。
しかも、道の反対側。
しかも、店の奥からわざわざ。
しかも、耳はちょっと遠くなってそうなおじいさん。
それでも、声をかけてくれる。
これが、京都なんですね。
前に、東京で、やっぱり自転車屋さんの前で携帯で話していたら、
「うるさいから、あっちへ行ってくれ」と、叱られました。
道を教えてくれる人がいるから、ちゃんとした地図がいらなかったんですね。
これが、京都なんですね。
これだけでも、「京都に来て、よかった」と思いました。
次の日から、その自転車屋さんの前を、必ず通るようになりました。
最短コースではなかったかもしれないけど、
そのおじいさんと会わないかな、と期待して通るのでした。

                        中谷彰宏拝
P.S.
一緒に、京都に行こう。