滝壷の中は、氷水のミキサーのようだった。
親愛なる君に

例によって、また死にました。
暴力夫役の2時間ドラマです。
今度は凄いです。
鉄製の灰皿で撲殺されたあと、滝壷に捨てられるのです。
スタントマンではなく、自分でやりました。
滝壷に投げ捨てられたことのある人はわかると思うけど、(いてへんて)
雪解け水は、半端じゃなく、冷たい。
滝の中は、水が猛烈に滞留しているのです。
しかも、底から、土を巻き上げて滞留しています。
この滝が、上流のほうで水量を調節できて、
トランシーバーで連絡すると、冷たい水を猛烈に増量できるという
融通のきく滝だったのです。
春先とはいえ、天気は雨。しかも、夜。
そこに、大雨という設定で、あさま山荘で連合赤軍に浴びせかけたような放水。
これが、顔に石が当たるように痛い。
鼓膜を直撃して、音が聞こえなくなる。
飛び込む前に水を触ると、上の方だけでも冷たかった。
でも、底は、もっと冷たいのです。
よく海で、急に深くなってるところの水って冷たい、あんな感じです。
「まず、仰向けに浮かんで10秒。
次に、うつ伏せになって10秒、浮かんでください」
と、監督の指示。
その時、僕の頭の中で、ある曲が流れてきました。
『タイタニック』。
ディカプリオが、海に沈んでいくところが、浮かんだのです。

                        中谷彰宏拝
P.S.
奇跡の生還を祈って、明日に、続く。