六本木ヒルズは、東京の道祖神になった。
親愛なる君に

僕がちょうど座ってパソコンに向かっている窓から、
東京タワーの隣に、六本木ヒルズビルが大きく見えます。
「面白い形してるなあ。まん丸でもなくて、梅みたいな形」と、
父親は、言いました。
僕は、建っていくプロセスも毎日、眺めながら、
「セミみたいなビル」だと思っていました。
ちょうど、空の色を反射して、早朝にさなぎからかえって、
飛び立とうとしているセミは、こんな透き通った水色をしています。
僕の部屋から、ちょうど正面が見えるので、
セミが羽根をたたんでいるように見えるのです。
マンハッタンの建築事務所「KPF」によると、
「サムライの甲冑」をイメージしたそうです。
なるほど、そう言われると、トップはカブトですね。
六本木ヒルズビルは、今までのビルと最も違うところは、
高さではなく、圧倒的な「太さ」なのです。
ジャケットの胸を開けているように見えるのは、
脱皮して、新しい何かに変身しようとしている動物のようでもあります。
興奮すると、にゅーっと中から伸びてきそうな感じです。
勃起時には、もっと太く高くなりそうです。
そう考えると、「太さ」といい、実にエッチな建物でいいですね。
これだけの文化的なセックスアピールに、
女の子が、たくさん集まるのも、ムリないですね。
こんなビルなら、窓に突然、現れても、大歓迎です。

                        中谷彰宏拝
P.S.
今度、僕のデスクに座って、見せてあげるね。