仕事は、企画優先じゃなく、人優先でしよう。
親愛なる君に

「本を書いてください」と依頼にくる出版社の編集者で、
センスのあるなしは、実は、はっきり差が出ます。
見分けは、それほど、難しくありません。

まず、お断りする典型。
「面達シリーズに書かなかった就職活動ものを、お願いしたいんですが……」
編集者なら、就職活動ものはダイヤモンド社にまかせて、
「自分で今まで誰もやったことのない本をヒットさせてやる」という
夢を持ってほしいです。
そういう編集者は、面達もちゃんと読んでいません。
「こういうのはどうですか?」というので、
「それは、もう出ていますよ」と教えてあげる。
「最近ですよね」というので、「はい、10年前です」と教えてあげます。
そういう編集者は、面達以外の中谷本も、まったく読んでいません。
中谷本どころか、本をまったく読まない編集者がぞろぞろいるというのが、
恐るべき現実です。

これとは、まったく、逆のパターン。
何も企画を持たずに、いきなり出したいと来る編集者。
意外に、こういう編集者は、優秀です。
企画優先ではなく、作家に惚れて仕事を進めるタイプです。
小さな会社でも、「いいよ。5日後までに、原稿渡します」なんて、
思わず、がんばってしまいます。

どんな仕事も、企画優先じゃなくて、人優先でするのが、間違いないね。

                        中谷彰宏拝
P.S.
今度、僕のかわりに、君が、出版の依頼の編集者に会ってみて。
僕の本の最大の読者の君が「この人ならOK」という人なら、書くよ。