こんな2時間ドラマのプロットは、どうだろう。
親愛なる君に

僕は、物忘れに、かなり自信があります。
携帯電話を持つのを忘れて出かけてしまうことは、
しょっちゅうです。
携帯電話がないと、行方不明の扱いになってしまうので、
取りに戻ります。
こういうことが起こるのは、必ず、急いでいる時です。
家に戻ると、携帯電話が見つかりません。
家の電話から呼び出してみるのですが、
僕はたいていマナーモードにしているので、
音が鳴らずになかなか見つかりません。
時間がだけが、過ぎていく。
そんな時、ズボンのポケットに携帯電話が入っていることに気づくのです。
つまり、携帯電話は、最初から忘れていなかったのです。
忘れたと思ったのは、
「クリーニングから戻ったばかりのジャケットを着たから、
ポケットに入れるのを忘れた」と、
忘れた理由のほうに頭が行ってしまったからです。
僕の空想力は、僕の体をどんどん幽体離脱していきます。
つまり、携帯電話を忘れたのではなくて、
「携帯電話を持ったこと」を忘れたのです。
こんな2時間ドラマ、どう?
いつか、推理小説を書けそうです。

                        中谷彰宏拝
P.S.
いつも、うろうろにつきあわせて、恐縮です。