つらい時に、「もう一度やりたい」と言える幸せ。
(石黒謙吾さん著 『パピーウォーカー』)
親愛なる君に

石黒謙吾さん著『パピーウォーカー』(全日出版)を、読みました。
編集したのは、『南青山の天使』を一緒に作った二宮由佳さんです。
パピーウォーカーとは、
盲導犬になる前の子犬を育てるボランティアの人です。
僕は、ペットの本やテレビは大好きですが、
かわいそうな話や悲しい話は苦手なので、つい早送りしてしまいます。
だから、この本を読むのは、ちょっと勇気が要りました。
だって、10か月には別れる前提で一緒にいなければならないからです。
大人は理解できても、家族の子供にはつらいことです。
でも、読んでよかった。

隆士君が、仔犬のファームにかまれた傷を、
「かどでぶつけた」と、隠すことがありました。
理由は、こうでした。
「かまれたと言うと、ファームが叱られると思って」

盲導犬学校に入れるために別れる時、家族みんなが思います。
「300日をありがとう。幸せをもらってばかりだったね」
つらい別れであるにもかかわらず、こう言うのです。
「もう一度、パピーウォーカーをやりたい」
別れる時に、こんなことを言えるって、素晴らしいですね。

                        中谷彰宏拝
P.S.
この本を読みながら、君のことを考えていました。