大阪の14歳のホイットニー・ニューストンは、万葉集を歌う。
(林明日香)
親愛なる君に

僕の歌の情報源は、CMとボウリング場のBGMです。
CMプランナーの性で、ついつい聴いてしまいます。
林明日香さんの『ake-kaze』は、炊飯器のコマーシャルで
印象に残ってました。
てっきりベテランの実力派のアーティストだと思っていたら、
なんと14歳の女の子だとわかって、驚きました。
小学生の頃から、ホイットニー・ヒューストンに憧れて、
大阪のいろんな場所を回って、
歌わせてくれる場所を探したというから、
凄いのは歌唱力だけではありません。
大阪のHゲートで、歌っていたそうです。
アルバム『咲』を聴くと、スローバラードが特にいいですね。
『ake-kaze』は、詞が不思議なんですね。
万葉集に出てくるような昔の日本語で、これも新鮮。

〈冷や飯をよそい 独り食(は)む夜 
喉の奥つまる さみしさよ〉

〈ホッホッと 白息 光に滲む 細い肩越し 菜刻む音〉

旅人が、孤独な旅先で、奥さんを思い出す歌だ。
「家にあれば けに盛る飯を 旅にしあれば」
と同じモチーフです。
だから、炊飯器のコマーシャルだったんですね。
CMでは、さびの部分しか使われないので、わかりにくいけど、
CM制作者の思いがわかりました。

                        中谷彰宏拝
P.S.
「永久(とこしえ)に 石動(いする)ぎ無く」を、
「どっかで鳥が、悲しげに鳴いている」と解釈した君の感性も、好きです。