絵本は、ノンフィクションよりも、リアルだ。
(五味太郎『しあわせになりたい研究』)
親愛なる君に

五味太郎さんの『しあわせになりたい研究』(大和書房)を、読みました。
編集したのは『死ぬまでにしなければならない101のH』の岡村季子さんです。
面白かった。
お風呂で読みながら、大声で笑って、オードリーが走ってきたほどでした。
五味さんは、絵本のベストセラー作家です。
名作童話の新解釈なんだけど、
あらためて絵本作家のリアルな感性に驚かされました。
これは、絵本のパロディではなく、これが絵本なんですね。

〈ウサギ女と競争したカメ女は、慢性的な内臓疾患〉
〈赤頭巾ちゃんは、いい年の女の赤頭巾さんの愛称だった〉
〈赤頭巾さんを助けた猟師というのは、
極真空手をしていたさわやか体育会系青年〉などなど。

絵本というと、現実からかけ離れたファンタジーというイメージを
持っているのは、絵本を読んだことのない人です。
リアルな人間描写がなければ、
絵本は書いたり読んだりできないんだなということが、よくわかりました。
子供は、大人よりも、ある意味で、リアリストです。
絵本は、リアルな大人のためにあるんですね。
大人が面白くて読むのを、
子供が横で、盗み聞きするのが、絵本の正しい読み方なんですね。

                        中谷彰宏拝
P.S.
僕も、君のために、リアルな絵本が、書きたくなりました。