観たことあるか、ないか、わからなくなるズレの魔力。
(イッセー尾形さん)
親愛なる君に

イッセー尾形さんの「クエストホール15周年祭り 一人芝居」を観てみました。
今回、また新たな発見を2つ。

1.メイクすることのできない目が、キャラによって、変身すること。
2.イスの座り方が、キャラによって、くっきり分かれていること。

イッセーさんの23年間300本以上の作品の中からのベストアルバム公演です。
ネタに入るたびに、
「あれ、これ観たかな。観てないな。いや、観た気もする。いや、やっぱり……」
と、行ったり来たりします。
これが、イッセーさんのお芝居の魅力です。
観たか、観てないかを、自信もって、言い切れないのです。
「全部、観たことある」と言う人も、実は勘違いかもしれません。
「全部、初めて観た」と言う人も、勘違いかもしれません。
初めて観た時と、2度目とで、ズレているのです。
イッセーさんのお芝居の魅力は、「ズレ」です。
同じ作品でも、少しずつズレでいるのです。

・実際に、演出が、毎日変わっていっている。
・イッセーさん自身が、変化している。
・観客が、変化している。
・見る席が、変わっている。

だからと言って、アドリブではないのです。
それは、もはや魅力というより、魔力ですね。
映画『らせん』の呪いのビデオは、再生するたびに変化しましたが、
イッセーさんのお芝居は、まさにズレる呪いの舞台なのです。

                        中谷彰宏拝
P.S.
何度、観ても、笑っている君が、好きです。