読者が、作家にのりうつって本を書いている。
(イタコ作家)
親愛なる君に

最近ますます、本を書いている意識がなくなってきました。
僕が本を書いて、読者に読んでもらっている気がしないのです。
読者に、僕が、書かされている気がするのです。
書かせてもらっているのです。
読者の吸引力で、僕の中から、ドクドクわいてきているみたいなのです。
だから、実は、書いているのは、
読んでいる人自身なのです。
僕は、恐山のイタコみたいに、読者にとりつかれて、
代わりに書いているようなものです。
作家って、イタコでいいんじゃないかなと思います。
だから、読者の人に作家が感謝されるのではなくて、
作家が読者の人に、感謝するべきなのです。
これからも、読者のイタコとして、がんばります。

                        中谷彰宏拝
P.S.
どんどん、のりうつって、いいよ。