サインは、自分の字で、相手の名前を書くことだ。
親愛なる君に

自分では気づかないで、無意識にしていることがあります。
誰かに指摘されることもあれば、自分でふと、「あれ、今?」って、
気づくこともあります。
相手の方の名前入りでサインを書く時、
相手の方の名前をつぶやきながらサインをしていることに、
「あれ、今?」と、気づきました。
目の前に相手の方がいないのに、です。
頼まれたサインを夜書いている時でも、
「○○さん」と、つぶやきながら、名前を書き込んでいるのです。
だから、自然と、サインを書いた人の名前を覚えてしまっています。
「前にも、書いたことがあるね」と、覚えてしまいます。
自分のサインは、すらすら書けるけど、
相手の方の名前は、丁寧に気持ちをこめて書こうと思っています。
だから、サインは、自分の名前よりも、
相手の方の名前を書くほうが、はるかに時間がかかるのです。
自分の名前ではなく、自分の字で相手の方の名前を書くのが、
本当のサインなんですね。

                        中谷彰宏拝
P.S.
君の返事が、聞こえました。