自殺の話を、家庭の食卓でするほうが、自殺は減る。
(『マニュアル』)
親愛なる君に

『マニュアル』のような自殺の映画を作ると、
必ず、「自殺を美化して、自殺を助長する」という意見が出るんだけど、
それって、自殺をタブーにしていく方向なんだよね。
そうやって、セックスも、戦争も、タブーにしていくほうが、
よっぽど危険なんですよね。
家族でご飯を食べながら、自殺の話ができるほうが、
健康な家庭だと感じます。
自殺に縁遠いからじゃなくて、
自殺マニアの親戚のおじさんが近所にいたからなのです。
年中、救急車を呼んでいたので、
名前を言うだけで、救急車がすぐきてくれる常連でした。
睡眠薬に抵抗力ができて、150錠飲んでも死なない丈夫な体になりました。
結局、飛び降り自殺したんですけど、
「アダムズファミリー」の我が家では、
ニコニコ笑いながら、おじさんの自殺の話をして、
「お代わり」なんて、言ってます。
ヤクザ映画は不良を増やし、AVは性犯罪を増やすというのは、
タブー視するPTAの発想なんですね。
ぜひ映画を見て、晩ご飯の時に話すネタになれば、
自殺が減ると信じています。

                        中谷彰宏拝
P.S.
死にそうでない人が、意外に、自殺したりします。
僕の今回の役は、自殺に追いやる側だったんだけど、
次のシーンで、追いやった側が自殺してるっていうお話も、
面白かったですね。