BIGなのに、デリケートなところが魅力。
(湖月わたるさん)
親愛なる君に

宝塚星組の『王家に捧ぐ歌』を観てきました。
何年か前に宙組時代にお会いした時に、
「きっと、トップになるよ」
と予言して、やっぱりその通りになって、僕はうれしいです。
湖月わたるさんが、トップになって最初の東京公演。
宝塚の公演は、1部と2部で物語とレビューに分かれているものも多い。
『王家に捧ぐ歌』のように、2部にまたがる物語は、
さすがに見ごたえがあります。
これは間違いなく、わたる君の代表作になりました。
宝塚の魅力は、ステージの広さです。
天井の高さと奥行きの深さを生かした演出は、宝塚ならではです。
特に『王家に捧ぐ歌』のように群集によるモブシーンが多い中、
その中心となって群集を受ける芝居は、
重心のある役者でないとこなせないけど、やったね。
わたる君がまた、いつものように
2列目のど真ん中の照れくさい席を取ってくれたものだから、
目をそらさないように、がんばって観ました。
2列目で観てると、お化粧の香りまでわかります。
左右のコーラスが、ステレオで聞こえてきます。
コンダクターのタクトも見えます。
ボウリングの試合と同じように、
シューズのキュッとスライドする音も聞こえます。
あんなに大きな劇場なのに、銀橋って、かなりお客さんに近いんですね。
銀橋での座り芝居のラブシーンでは、
僕も役者として一緒に芝居してるみたいな距離でした。

                        中谷彰宏拝
P.S.
共演者のわたる君の印象は「BIG」というのが多かったけど、
実に「デリケート」というのが、僕の印象です。
それこそ、宝塚の魅力ですね。