ルイヴィトンの財布が、ダイエーの割引券でパンパン。
(母親の財布)
親愛なる君に

母親が、「お誕生日のプレゼントに、ルイヴィトンの財布を買って」
と言うので、カタログを送りました。
「まかせる」と言いながら、好みがうるさいので、はずしては大変だからです。
母親は、ルイヴィトンに関する予備知識は、まったくありません。
一緒についていって買ってあげた旅行バッグがひとつあるだけで、
それ以外、ヴィトンは二つ目です。
ふだんは、100円ショップで買った財布を何年も使っています。
僕の財布が5万円もすると聞いて、お経を上げていました。
もったいないからと、
いいカバンを買っても、10年ぐらい隠してある人です。
入門としては、ヴィトンとわかりやすいモノグラムかダミエがいいかな
と思っていたら、カタログにマルがついていたのは、なんと
オーストリッチでした。
価格は、10万円以上。さすが。
スペシャルオーダーなので、パリに依頼して8か月かかる商品です。
「8か月かかりますけど、いい?」
と聞くと、「やっぱり、ママ、見る目あるでしょ」と、ご満悦でした。
「8か月もかかるんやったら、まかせるよ。色は、緑ね」
母親の好きな色は、僕と同じ緑です。
結局、僕と同じ、タイガの財布を贈りました。
「あなたと同じ財布やね。あなたみたいに金運がくるわ。ありがとう」
「仏壇の中に隠しておかないで、使ってくださいね」
「ダイエーいって、見せてきます」
驚いてお経をあげていたのに、
僕の財布を覚えている記憶力は、さすがでした。

                        中谷彰宏拝
P.S.
今ごろ、母親のタイガの財布の中は、
1円玉と5円玉とダイエーの割引券で、
パンパンにふくらんでいるはずです。