桜の本当の凄さは、花よりも枝や幹にある。
(冬の上野公園)
親愛なる君に

父親が検診で来たついでに、上野に一緒に行きました。
絵が好きな父親が、まだ上野の美術館群に行ったことがなかったので、
案内することにしました。
上野は、多くの美術館で、
ルーブルやメトロポリタン美術館のような構成になっています。
うっかり、入ってしまうと、
見たい絵に巡り合うまで、1週間くらいかかってしまいます。
父親は、ルノワール、モネから、ピカソまでが好きなので、
西洋美術館の新館をメインに案内しました。
不忍口から、美術館へ向かう上野の山の桜は、
冬で枯れ木になっていました。
(春だと、満開の桜を見せることができたのにな)
と、僕は、ちょっと残念でした。
その時、枯れ木の桜の花道を見ながら、父親は言いました。
「凄いなあ……花がないほうが、枝の凄さが、余計、わかるなあ」
花が咲いていると、枝や幹の凄さがわからないのです。
花も桜ですが、枝や幹も桜なのです。
桜の本当の凄さは、花よりも、枝や幹にあるのです。
冬の桜を父親に見せることができて、神様に感謝しました。

                        彰宏より。
P.S.
桜の花が咲いてない季節に、今度一緒に、桜の樹を見に行こう。