映画では、ふだんつかんだりもんだりしないことができる。
(『十七歳、悪の履歴書』)
親愛なる君に

今、「女子高生コンクリート詰め殺人事件」の映画を撮っています。
台本を読んでたら、叫び声が出てしまうような凄い話です。
僕は、殺す側でなくてよかった。
17歳の犯人を追い詰める刑事です。
台本を読んで、
怒鳴るより、じわじわ優しく追い詰める演技を想像していました。
僕は、あんまりイメージを固めすぎないで、
現場での監督さんや他の役者さんたちとのフォーメーションで、
演技プランを変えます。
この日も、現場で、ワンシーンまるまる違うセリフをわたされました。
こういうのは、僕は大好きです。
どんなに長いセリフになっても、セリフが増えるのは、うれしいことです。
「ぶちきれて、容疑者の胸倉をつかんでください」
やりました。
次の日、肩のまわりが筋肉痛でした。
ふだん、胸倉をつかむということを、あまりやってないので、
胸倉つかみ筋が、ビックリしたのです。
めったにつかんだりできない胸倉をつかめたりできるのが、
役者の面白いところですね。

                        彰宏より。
P.S.
胸倉をつかむほうと、つかまれるほうの、どっちをやってみたい?