働くおじさんは、働いてない時ほど、一生懸命、働いている。
(イッセー尾形さん)
親愛なる君に

イッセー尾形さんの「働くおじさんシリーズ」を観てきました。
今回も、またいくつも発見がありました。

1.同じ作品を、役者も観客も20年を隔てて観る面白さ。
「亀井」「へーイ!タクシー」という20年近く前の作品を観ることができる喜び。
芝居を観ているのか、20年という時の流れを観ているのか。

2.「働くおじさんシリーズ」なのに、おばさんの話もある面白さ。
働く時、若い女性もおばさんも、みんなおじさんになるのです。

3.「働くおじさんシリーズ」なのに、働いていない面白さ。
謝っていたり、リストラされていたり、旅行していたり、
仲間を待っていたり、お客さんの身の上話を聞いていたり、
タクシーを拾っていたり……。
働くおじさんは、働いていない時ほど、一生懸命、働いているんですね。

4.トーンの違うお話が、ない交ぜになっている面白さ。
「告白タイム」は、告白するより、告白されるほうがつらいよという
ラブストーリーだし、
「テーラー」は、死を宣告された人が、お棺に入れるスーツを作りにくる
という純文学ですね。

5.イスの面白さ。
イッセーさんのお芝居では、イスは名脇役です。
座るしぐさのバリエーションの多さに、驚かされます。
イッセーさんのお芝居は、「オムライス始めました」と書かれた
お寿司屋さんみたいな感じですね。
意外に、そのオムライスが、おいしいのです。

                        彰宏より。
P.S.
かといって、洋食屋さんで「オムライス始めました」も不思議だよね。
なんで、今までなかったんだろう。