本物のサービスも本も、内容を盗むことはできない。
親愛なる君に

僕のところに、「本にしたいんですが」と原稿を
送ってこられる方が、よくいます。
僕が、あんまりたくさん本を書いているので、
出版社と勘違いされているのかもしれません。
僕は、本の中でも書いていますが、
原稿は、出版社に送るほうが出版される可能性は高いです。
作家に原稿を送って、それが本になる確率は、0%です。
僕は、送られてくる原稿は、いっさい読みません。
それは、冷たいからではなく、次の理由からです。
今日も、ある熱心な方から原稿が送られてきました。
添えられた手紙に、こう書かれていました。
「出版社に送るのは、私が無名なので、内容を盗まれたりしないか心配です」
ちょっと、残念な気持ちになりました。
僕の知っている限り、内容を盗んだりする出版社はひとつも存在しません。
この方は、損をしているなと感じました。
僕は、この方の原稿を読まないで、送り返すことにしました。
「内容を盗まれた」と余計なことを言われたくないからです。
たぶん、編集者も同じ気持ちになるでしょう。
お手紙によると、「サービス」についてらしいのですが、
本もサービスも、それが本物なら、盗もうとしても、盗めないものなのです。
モノマネは、しょせん、モノマネにすぎず、本物にはかなわないのです。
だから本物は、盗まれないかと、ビクビクしないのです。
僕は、アイデアを盗まれたくて、本を書いています。
そのアイデアが、もともと誰のものだったかなんて、
わからなくなっていいと思っています。
僕の体験から生まれたアイデアが、他の本に書かれているのも、
よく見かけます。
それに対して、別に、なんとも思いません。
僕のしたいことは、自分の名前を売ることではなくて、
世の中をハッピーにするアイデアが広まればいいのです。

                        彰宏より。
P.S.
またひとつ、勉強になりました。