この番組がなかったら、僕の映画人生はなかった。
(淀川長治さんと『日曜洋画劇場』)
親愛なる君に

僕が大学時代に映画を4000本も見るキッカケになったのは、
淀川長治さんの解説の『日曜洋画劇場』(テレビ朝日系)です。
この番組がなかったら、僕の映画人生は、なかったです。
小さい頃は、まだ映画館に連れて行ってもらえません。
今のように、レンタルビデオがあるわけでもありません。
衛星放送もないので、テレビで見ることのできる映画は、
『日曜洋画劇場』だけでした。
部屋の電気を消して、見てました。
モノクロの1950年代の名作を毎週、放送していました。
我が家では、子供は10時に寝なければなりませんでした。
9時から11時放送の『日曜洋画劇場』は、
いいところまでしか見ることができません。
映画好きの両親の特例措置として、
『日曜洋画劇場』のある日だけは、11時まで起きて見ることが許されました。
映画もさることながら、淀川さんの解説が抜群だった。
『日曜洋画劇場』という前説・後説を集めた単行本も、
大学時代から持っています。
映画の解説って、難しいのです。
ネタばらしでも、知識の押し売りでも、一人興奮でもいけないのです。
恐怖映画を見たあと、淀川さんが兵庫弁で、
「おや、あなたの後ろに、誰かいますよ。
それでは、サヨナラサヨナラサヨナラ……」
と言ったあと、僕は怖くて振り返ることができませんでした。

                        彰宏より。
P.S.
その『日曜洋画劇場』の解説をさせていただきました。
映画『エントラップメント』も面白かったけど、
『日曜洋画劇場』そのものに感動しました。
7月4日(日)オンエアです。