ひと言も言葉を交わさないでエッチしたら、セクシーだ。
(マシュー・ボーン『プレイ・ウイズアウト・ワーズ』)
親愛なる君に

マシュー・ボーン演出のバレエ『プレイ・ウイズアウト・ワーズ』
(シアターコクーン)を見てきました。
まだ上半期なのに、今年のベスト・ミュージカルに選んでしまいました。
前から3列目で見たので、ダンサーのオーデコロンの香りまで、
伝わりました。
コネを使っていい席を取ってもらったのではなくて、
マシュー・ボーンの前作『くるみ割り人形』の公演より先に、
早々とチケットを予約したからでした。
そんなに早く予約したのは、ポスターがセクシーだったからです。
裸に、テニス・セーターだけを着た女性が、男性を誘惑するポスター。
このポスターも、今年のポスター・ベストワンです。
宣伝は凄かったけど、実際に見ると、ポスターのほうが勝ちということも、
時々あるけど、実際に見ると、さらに凄かった。
こんなにセクシーな舞台を、見てていいのかなとハラハラするのを、
抑えて、平静をよそおうのが、大変でした。
これは、もうミュージカルとかバレエとか、ストリートプレイとか関係ナシに、
面白く、セクシーでした。
1人の登場人物を、3人のダンサーが、同時に演じていきます。
同じ台本で、3つの演出プランがあって、それを同時に見ることができるのです。
「わざとずらした、芝居のシンクロナイズド・スイミング」みたいな感じです。
それが、お互いに邪魔しないで猛烈なテンポで展開します。
『プレイ・ウイズアウト・ワーズ』というタイトルに、
すでにトリックが仕掛けられています。
「セリフのないお芝居」という意味だけではありません。
「プレイ」は、「コスプレ」とか「赤ちゃんプレイ」と同じ、
まさに「セックスのプレイ」という意味に、違いありません。
もし、ひと言も言葉を交わしてはいけないというルールでセックスしたら、
かなりエッチだよね。

                        彰宏より。
P.S.
3つの演技プランのうち、きっとたくさん見逃しているだろうね。
3回見たいけど、つきあってくれる?