ワンちゃんの芸ではなくて、信頼を見た。
(わんわん大サーカス)
親愛なる君に

生放送の公開番組は、終わってからが楽しい。
本番で2回トライして、成功しなかった大技を見て、
難度の高い芸に挑戦する姿に、僕は感動しました。
放送終了後に、見にきてくださったお客さんに、挨拶をしている時に、
フロアディレクターから、指示が出ました。
「もう1回」
この時、僕はちょっと、心苦しかった。
かわいそうじゃないかなという気もしました。
人間でも、一度失敗すると、怖くなるものです。
あせりも、落ち込みもあると思います。
それは人間でも、同じです。
団長の内田義廣さんが、「やりましょう」と言いました。
再び、準備してチャレンジ。
飛んでいく家康君が、かなり震えているのがわかります。
(もう、今日は、休ませてあげて)という気持ちと
(もし、僕だったら、できないままだとショックだから、やり直したいだろうな。
トライさせてあげたい)という気持ちが、入り混じりました。
いざ、3回目。
……失敗。
さらに、4回目にチャレンジ。
家康君が、「もう1回やらせてください」と言ったのを聞いたような気がしました。
相棒のひまわりちゃんが、「大丈夫?」と言ったのも、聞こえました。
家康君が、震えながら「クイーンクイーン」と鳴き声を出し始めました。
いざ、……成功。
内田さんに聞くと、「クイーンクイーン」と鳴いたのは、
「いくぞ、いくぞ」という気合だそうです。
あとで聞くと、リハーサルでは一発で成功したそうです。
これは、ひまわりちゃんと家康君、そして、男性と女性のスタッフの
4人のメンバーは固定でないと、できない芸だそうです。
獣医の野村先生が、名言を教えてくださいました。
〈ワンちゃんが芸をするのは、才能でも勇気でもはなくて、
ご主人との信頼です。〉
僕は、この日、芸ではなくて、大きな信頼を見ることができました。

                        彰宏より。
P.S.
今度、一緒に「わんわんサーカス」を見に行こう。