寛斎さんは、海賊の船長だった。
(『アボルダージュ―接舷攻撃―』)
親愛なる君に

山本寛斎さんのスーパーショー『アボルダージュ―接舷攻撃―』
の通し稽古を、武道館で見てきました。
と言うと、「ファッションショーですか?」と、誰もに聞かれます。
ファッションショーでもなく、パフォーマンスのようでもあり、
ミュージカルのようでもあり、イリュージョンのようでもあり、
お祭りのようでもあり、宗教の怪しい会のようでもあり……
結局、寛斎さんにしかできない寛斎ショーなのです。
武道館でやってるから、やっぱり武道のような気もします。
寛斎さんは、テンションの高い武道家なのです。
1階席の観客は、水の大砲で水浸しでした。
僕が見ていた2階席まで、水しぶきが飛んできました。
あっという間に現れた100張り近い太鼓の
「ピアニッシモ」での大合奏に、ドキドキした。
太鼓は、やっぱり「フォルテ」ではなく「ピアニッシモ」の叩き方が、迫力がある。
寛斎さんは、もはやファッション・デザイナーを超えてしまっています。
僕は、「接舷攻撃」というタイトルが、気に入りました。
海賊が、自分の船を相手の船に横付けして、
乗り込んで戦うという背水の陣の肉弾ゲリラ戦法です。
やっぱり、寛斎さんは海賊の船長なんですね。

                        彰宏より。
P.S.
新選組のそろいの衣装をつくった人も、きっと寛斎さんみたいな
お祭り好きな人だったんですね。