落書きのように楽しんで描ける人が、仙人だ。
(榎木孝明さん『いい加減なスケッチのすすめ』)
親愛なる君に

俳優・榎木孝明さんは、仙人みたいな人です。
空気中のエネルギー体を、つかまえて食べれるという人です。
ドラマでご一緒させていただた時も、
口をほとんど開けずに、まるで腹話術のように話されるのです。
それなのに、言葉は明瞭で、気持ちがこもっています。
やっぱり、仙人です。
僕は、絵も好きですが、絵を描く人も好きです。
榎木さんも、素晴らしい絵を描かれます。
旅先でのスケッチです。
知らない土地で、スケッチブックを広げて絵を描く勇気は、
なかなか持てません。
写真を撮るのでも、みんなに気づかれないように撮るくらいです。
それができる人は、よっぽど、肝の据わった仙人です。
『いい加減なスケッチのすすめ』(ビジョン企画出版社)で、
榎木さんのスケッチとともに、スケッチの仕方のアドバイスがされていて、
これが面白くて、勉強になります。

〈早く描く〉
〈疲れている時にも描く〉
〈落書きみたいに。バアーッと描く〉
〈自分の絵を楽しむ〉
〈デッサンがくるっても、めげない〉
〈好きなところから、描いて、塗る〉
〈窓が四角に描けなくてもいい〉
〈風景から、無限の表情を読み取る〉
〈想像力をふくらませる風景を描く〉

そうか、と僕は気づきました。
それって、僕の本の書き方と同じなんですね。
とすると、僕も仙人になれるかな。

                        彰宏より。
P.S.
〈うまく行く時もあれば、失敗する時もある〉
これは、ダンスやボウリングと同じですね。