「大きな舞台」を経験させてくれた神さまに、お返しできることがある。
(ジャパンカップ2004)
親愛なる君に

世界100国近くに、ボウラーは存在します。
ボウリングのプロが存在する国は、アメリカ・日本・韓国の3か国のみです。
その3か国のトッププロが、集結して行われる大会が、「ジャパンカップ」です。
実質上、ボウリングのオリンピックと言っても、過言ではありません。
今年から、「ドリームボウル」と合体して、さらに大きな大会になり、
アマ選手も、参加できるようになりました。
アマといっても、各大会でベストアマを取ってきているチャンピオンや
ナショナルチームのメンバーです。
その凄い試合に、選手として参加させていただきました。
これまで、よくこんなコメントを聞いたことがありました。
〈この選手は、若いですが、アマチュア時代から、ナショナルチームで、
世界の大きな舞台で戦ってきている経験がありますから……〉
僕が、強運なのは、「大きな舞台」を経験させてもらえるということです。
今年、プロとのオープン大会は、5大会に参加します。
東京オープン・プロ男子新人戦・全日本ミックスダブルス・
ジャパンカップ・ジャパンオープン。
師匠の加藤孝幸プロは、いつも
成績が悪いことに対しては、ひと言も怒りません。
「なにかひとつでも、つかんでくるように」
というのが、師匠のテーマです。
温厚な加藤プロも、リタイヤする人にだけに対しては、
「意外に、プライドないんだよね」と厳しい。
大きな舞台を与えてもらった僕にとっての使命は、
どんなに打てなくても、最後まで、捨てずに投げ抜くことです。
それが、大きな財産でもあり、
舞台を与えてくださった神さまへのお返しになります。
お返しは、2つあります。
ひとつは、大きな舞台の経験を未来に生かすこと。
もうひとつは、アテネオリンピックの女子100メートル走の
アブガニスタン代表の少女の役割をすることです。
彼女は、サイボーグのような一流選手に交じって、
Tシャツで走りました。
ぶっちぎりの最下位でしたが、彼女のおかげで、
トップアスリートの凄さもリアルにわかりました。
そして、自分と、超一流の間を埋める存在を
観客は彼女に見出しました。
あたかも、自分も一緒に走っているような感覚を味わえるのです。

                        彰宏より。
P.S.
終わった時に、「なかなかやるじゃん」と言われるより、
「さわやかだよね」と言われるように投げ抜きました。