出演者より、台本を読み込んでいる観客がいる。
(葉山陽一郎監督と大江さん)
親愛なる君に

映画では、観客の想像の余地を残すために、
わざと、説明を省略することがあります。
僕の毎日通っているボウリング場のスタッフの大江さん(本にも登場)が、
映画『サル』を、僕が出ているのを知らずに
たまたまレンタルして見たそうです。
「あのお話は、結局……」
と、大江さんに質問されました。
「まだ、2回しか見直してないんですが、こういう解釈でいいんですか?」
大江さんの解釈は、出ている僕より、はるかに深い解釈でした。
「えっ、そうなんですか?」
と、驚いて聞き直したのは、僕のほうでした。
「念のため、カミさんと、もう一度、見直してみます」
恐るべき観客がいますね。

                        彰宏より。
P.S.
この新薬の人体実験は、葉山陽一郎監督が
自主映画製作費を稼ぐための実体験だそうです。
葉山監督が、淡々としてマニアックなのは、
実験の後遺症とのウワサもあります。