君のことを、オマエと呼べない。
親愛なる君に

僕の本のタイトルで「君」が、たくさん使われています。
僕は、「オレ」という言い方が、どうしてもできません。
600冊以上ある本の中で、「オレ」という表現を使ったのは、
『いい女だからワルを愛する』(青春出版社)1冊だけです。
これは、わざとしたんだけど、やっぱり、
わざと不良ぶってるのが、バレますね。
「オレ」が言えないので、「オマエ」が言えません。
「僕」と「君」が、いちばん、しっくりします。
ヤクザ映画の中のセリフでも、
台本にある「オレ」「オマエ」が、言いにくいので、
「監督、これ、『僕』『君』にしたほうが、ネライとして、より怖くないですか」
と、なんか理由をつけて、変えます。
リハーサルの間に、間違えたふりをして
「オレ」を「僕」に変えていることもあります。
僕の出ているヤクザ映画も、見てみてください。
電車やレストランでも、
ガールフレンドに、「オマエさあ」って言ってる男の子には、
「優しくしてあげようよ」と思ってしまいます。
僕が好きなフォークソングの世界では、
「僕」と「君」なんだよね。

                        彰宏より。
P.S.
だから君のことは、オマエじゃなくて、君と呼ばせてね。