いい人を演じるのは、悪役を演じるより難しい。
(『TV憑き』)
親愛なる君に

映画の中では、いい役より、悪役をこれまでたくさんしてきました。
殺す役・殺される役・犯人役・犯人っぽい役。
今撮影中の映画『TV憑き(つき)』では、プロデューサー役。
パッと思いつくのは、チャラいプロデューサーか、冷たいプロデューサーです。
でも、葉山陽一郎監督の狙いは「いい人」でした。
もうちょっと年をとると、いい人もやりやすいのですが、
僕らの年齢でいい人を演じるには、かなりの力量がいります。
よく迫真の演技と言われるのは、悪役を絶賛する表現ですが、
よほど、いい人を演じるほうが、深くて楽しいのです。
僕は、演技プランを考える時、
自分の役を他の役者さんがやったらどうなるかというふうに
キャスティングを考えてみます。
偉くていい人ができる役者さんを思い浮かべました。
児玉清さんや西田敏行さんの年齢でもないし。
石橋凌さんは、ヤクザをやってもいい人ですね。
國村隼さんも、『半落ち』で、淡々としてカッコよかったですね。
だんだん、寺尾聰さんになっていきました。

                        彰宏より。
P.S.
また、勉強になりました。

※『TV憑き』は『死霊波』に改題になりました。
  05年2月5日から、渋谷シネ・ラ・セットで、公開です。