お芝居や本と出合う人は、神様が決めている。
(稲川淳二さん『ミステリーナイトツアー2004』)
親愛なる君に

年末12月29日に、稲川淳二さんの怪談「ミステリーナイトツアー2004」
に行ってきました。
深夜25時の「クラブチッタ川崎」のまわりは、人影もなく、
そこだけに黒い影が集まっていくという、まさに異空間でした。
毎年、夏の公演に行ってるのですが、今年は、ドラマの撮影と
ボウリングのトーナメントが重なって、
(今年はムリかな)と諦めかけていました。
すると、稲川さんから几帳面な直筆で、お手紙をいただきました。
「中谷さんに会えなくて、淋しいです」
そして、やっと、年末にスケジュールを合わせることができました。
25時から始まって、なんと朝の5時まで、たった1人で熱演です。
しかも、ちょうど2日前に、稲川さんのお姉さんが天国に先立たれて、
大変な時でした。
「姉も、一緒に見てると思いますので、そっとしておいてやってください」
と、稲川さんは、おっしゃいました。
始まる前に、楽屋に挨拶に行きました。
「中谷さんに見ていただこうと思って、夏のセットを冬までとっておきました」
と、握手してくださいました。
お話が始まって、不思議なことに気づきました。
時おり、セットの障子に、ずっと人影が動いているのです。
(おかしいなあ……)と、話を聞いていました。
稲川さんは、お話で怖がらせる人なので、
チープになるセット演出はされません。
背景でチラチラ動くと、話に集中できないし、
スタッフの影が映りこんでいるなら、装置監督さんが気づいて注意するはずです。
気づいているのは、僕だけではありませんでした。
これが、「そっとしておいてあげてください」ということなのですね。
4時間、たっぷり、「いい時間」をいただきました。
夏に来れなかったのは、冬のこの会に招待してもらうための
神様のお導きだったんですね。
見たいお芝居のスケジュールが合わなくても、ガッカリしなくてもいいのです。
お芝居や本と出合う日にちも、神様が決めているのですね。

                        彰宏より。
P.S.
スケジュールが合わなくても、あせらず、神様の決めた日にちに
合わせようね。