お参りに行くと、面白いことに出合える。
(明治神宮 夜店とおみくじ)
親愛なる君に

お参りに行くと、面白いことに出合います。
今年も、ありました。
お参りをする楽しみは、夜店でおいしいものを買う楽しみです。
お参りをして、お守りを買って、おみくじをひいて、
夜店に寄って食べる、というのがメニューです。
焼きそばのソースの匂いにつられて行ったら、
おしょうゆの焼ける匂いのカウンターパンチが来ました。
イカ焼きでした。
あと1人のところに並んでいると、
売っているお姉さんが叫びました。
「あっ、あの人」
こんなに近くにいるのに「あの人」というのも不思議なんだけど、
「ああ……名前が……出てこない」
こういう時、指をさされているこちら側のリアクションの仕方が難しい。
前に並んでいた親子が、有名人がいるのかと
お姉さんの指さしたほうを、振り返りました。
思わず、僕も、同じ方向を振り返ってしまいました。
おまけに僕は、手に、さつまいもスティックを、持っていました。
こういう時、大阪だと、「お兄ちゃん、誰でしたっけ?」と
ボケて聞いてくれるのですが、東京の人はまじめです。
僕の番が来て、お姉さんは言いました。
「イカ、切りますか?」
「お願いします」
おみくじの言葉は、明治天皇の奥様、昭憲皇太后の「謙遜」というお歌でした。

〈高山のかげをうつしてゆく水の
ひききにつくを心ともなが〉

(高い山の姿を映して、谷川の水がだんだんと低い方へ流れていくように、
理想は高く、身はつつましく)という素敵なお言葉でした。
イカ焼きも、おいしかったです。

                        彰宏より。
P.S.
今度一緒に、お守りを返しに行こう。